煙草とキス




「あー、もう……」




あたしは深いため息をついて



バッグの中から、折りたたみ傘を取り出した。






アーケードを歩いていた人々は



みんな、走って店に入ったりしていた。





そんな中、あたしは折りたたみ傘をさし



早歩きしながら、家路を急いだ。










すると、その途中……




人通りの少ない路地の角に


こんなどしゃ降りの中、傘も差さずにに地べたに座り込んで、



うつむいている女の人を見つけた。






明るくて長い茶髪を巻いて、



パンク調の服を着ているけど、もう雨でずぶ濡れ。




肩にはギターケースが掛っていた。