煙草とキス







────「澪ちゃん、今日はありがと」




「いえ……」









結局、披露宴がお開きになっても



快斗は戻って来なかった。










「これから二次会あるの。ホテルの近くのバーを貸し切ってあるから」





そう言って、ひかりさんはあたしに小さなドラジェを渡しながら微笑んだ。






「詳しくは後で電話するね。それまで快斗くんと庭とか行きなよ!」



「庭?式場の?」



「イルミネーションとか、綺麗だって噂なのよ、この式場」






クスッと笑ったひかりさんは


立ち止まるあたしをよそに、他の人の元へと行ってしまった。








「快斗………」





溢れかえる招待客の中で、手の中のお菓子を見つめて息を吐く。






背伸びして人混みの中を見渡しても


快斗の姿は見えなかった。