そう言った快斗の声に
あたしは、酔いそうになった。
夜風に乗って、快斗の香水の匂いと煙草の匂いがあたしを覆う。
「今年中………」
あまりにもリアルすぎる。
だけど、どこか嘘のようにも思える。
今年はあと、4ヵ月もすれば
終わりを告げに来る。
まだまだ先のような気もするし
それこそ、あっという間に来てしまう気もする。
そんな感覚の中で
快斗がメジャーデビューしちゃうの?
しかも、あんな大きな事務所から。
bitterメンバー全員の性格上
メジャーでも、絶対に上を目指す。
かと言って音楽性を変えることは、決してないだろうし
事務所に頼るなんてこともしないだろう。
彼らは、ずっと変わらない。
だから怖い。
あたしの目の前でどんどん成長して
どんどんあたしを離していって
見えなくなってしまいそうだから……


