「……今日、どうだったの?」
あまりの快斗の手の温かさに
つい、2人の絡まる指を見てしてしまう。
「聞きたい?」
そしてそのまま
目線を落としながら頷く。
すると快斗は
指に少し力を入れて、歩調を遅くした。
「とりあえずは、今月いっぱいで今の事務所は終わりだよ」
「……ホントに?」
「グリレコとは、仮契約が決まってさ。
本契約は9月に決まる予定だよ」
快斗の表情も声色も……
口調も全部、すごく誇らしげで、あたしまで誇らしい気分になった。
「じゃ…じゃあさっ、デビューの話は本格的に進んでるってことでいいの?」
心なしか、声が震える。
そんなあたしを見て、快斗はまた笑う。
「うまく行けば、今年中にな」


