狭い電車内で、何度も揺られながらも
あたしは目を開けなかった。
快斗が駅まで迎えに来てくれるなんて、一体どれほど振りなんだろう?
最近はめっきり
家でも会わなくなっていたし。
昨日、龍也が快斗を送りに来なかったら、グリレコのことも、分からなかったかもしれない。
前までは、バイト帰りにライブハウスにあたしが行ったりして
2人で家まで帰ってたのにな……。
いつだったか忘れたけど
まだ、快斗と付き合って間もない頃。
『メジャーデビューしても、そのまま付き合い続けるの?』
そうあたしに聞いてきたひかりさんは、一段と大人に見えた。
そんなこと、考えてない。
本音はそうだったあの頃。
例え快斗がメジャーデビューしても
2人の関係は変わらない。


