煙草とキス





「澪がボケッとしてるからじゃね?
おまえさ、タイバンのときいっつも扉側でボーッと見てるじゃん?」





ゆっくりと煙を吐いた龍也は、灰を落としながらそう言った。



その横で、徹平が笑っている。






「たしかに……。
てか、澪ちゃんもはしゃぐの?」




「あたしだって、はしゃぐよ」




「え~っ、澪がはしゃぐ姿って…
ぜんっぜん想像できないんですけど!」






徹平の質問に答えると、ウーロンハイを飲んでいた梓が


目を丸くしてあたしの顔を覗き込んだ。







「想像しなくていいから!
でも、あたしよりひかりさんの方が激しいよ、かなり」





……なんて、あたしは言ったものの




反応したのは快斗だけだった。









「誰、ソレ?」




少し黒ずんだシルバーの指輪を外しながら、龍也は快斗を見る。





でも快斗は


「俺らのファン」と言って、軽く流しただけだった。