──── 夕方になると、雨は止んだ。
今夜は、bitterlipsワンマンライブ2日連続公演の最終日。
昨日と同じライブハウス
ROCK―RAY前には、昨日よりも倍に近い人数が長蛇の列をつくっていた。
当日券売り場には、でかでかと
《 追加チケット残りわずか 》の文字。
そして、そこにも列が出来ていた。
快斗たちは、知っているのだろうか。
こんなにも人が集まっているなんて、考えてもいないのではないだろうか。
あたしは薬指の薔薇を見つめ、左手をそっと胸に当てた。
昨日よりは、遅い脈拍。
でも、普段に比べれば…相当な速さで拍を刻んでいる。
早くライブが始まってほしい気持ちと
早くライブが終わって、快斗たちと会えることを望む気持ちでいっぱいだった。


