いくら、あたしは妊娠していたことを知らなかったと言っても……
あんな揉みくちゃにされて
人口密度が超高くて
熱気でムンムンのところに、妊婦を連れて行っちゃったあたし。
「赤ちゃん、大丈夫ですかね!?」
ひかりさんの好きなバンドだ。
ライブに行ったんだから、はちゃめちゃに跳ねたり踊ったりしたに違いない。
ライブ中、あたしの隣から
何度消えたことか……。
でも、ひかりさんは
相変わらず優しい笑顔を見せてくれた。
「大丈夫だよ。私の子だもん!
それに、つわりは軽い方だから、昨日も調子良かったの」
「でも………」
「もぉ~、心配しないでいいから!
私は澪ちゃんが思うほど
昨日は激しく狂ってないからね?」
『一応、お母さんなんだから』
そう言ったひかりさんの表情は
目の錯覚かもしれないけど、優しいお母さんのように見えた。


