煙草とキス





興奮気味のあたしをなだめるように


ひかりさんは、店員さんにアイスティーを頼むと、また口を開いた。






「大阪に行く前に、できた子みたいで。
籍を入れてから気付いたの」




「…知らなかった……」




「いや、今教えたばっかりだから」






ひかりさんは、クスッと笑うと、運ばれてきたアイスティーをあたしに渡した。



何故かテンパっているあたしは、そのアイスティーを一気に流し込んだ。







「お~、いい飲みっぷり!」




ひかりさんはふざけて笑ってるけど


あたしは、驚いたまま。




もう、色んな光景が頭を巡っている。







「あ、あたし……
散々ライブに連れ回しちゃった!」





はっ、と口を押さえると



ひかりさんは、何故か大爆笑。





「その時はお互い知らなかったんだし!
はっちゃけてたのは、当の本人だもん。何もそんなリアクションしなくても…」



「いや、でも!
昨日は3ヵ月の赤ちゃんが……」





あたしはそう言って


ひかりさんの方へ身を乗り出した。