煙草とキス





それからは、照明のようにbitterの曲もめまぐるしく変わり



攻撃的な曲、バラード調の曲や


快斗の、アコースティックギター1本の弾き語りもあったりして、本当に内容の濃いプログラムになっていた。






また、客の盛り上がりも


曲に応じてヒートアップしたり、体をゆっくり動かしてノッたりと様々。




クールで攻撃的な曲や、スピード感がある曲のときには


気付いたら、隣にいたはずのひかりさんが飛び跳ねながら最前列に入り込んで、快斗の手を触ったりしてた。






手を伸ばせば、快斗がステージに上げてくれそうなくらい近いところに居るのに



周りの熱狂的なファンに


揉みくちゃにされて、あたしは快斗を見つめるのでやっと。





どこからともなく体を押され、足を踏まれたり、激しくぶつかられたりするのはあたりまえで。



そんなのいちいち気にしてられない。





とにかくあたしは、あんな華奢な体で


髪全体が濡れるくらいの汗をかいて歌っている快斗を



ただひたすら、目で追うばかりだった。