煙草とキス





「ワーーッ!」






ものすごい大きさの歓声にライブハウス全体が包まれ



フロアが、地震のように揺れた。








………そう。



bitterlipsが暗いステージに現れ、ギターの一音が小さく伸びたのだ。





そして、次にベース、スネアドラムが音を鳴らす。





すると、さっきまでの歓声が


一気にシンと静まる。




ゆっくりと照明が落とされ、彼らの姿が見えなくなった。






ゴクリ、と喉を鳴らして


高鳴る胸に手を当てる。





そして




目を閉じ、再びゆっくりと開けると……










一瞬にして、バックライトがステージからこちらに光を放って



シルエットになった彼らの、ステージを揺さぶるような大きなサウンドが響いた。






bitterメンバーへの拍手と歓声が喝采し、全員一斉に飛び跳ねたり、拳を高く突き上げたり、ぶつかりあったり。




いつもの何十倍もかっこいいスタートに心を持っていかれたのは


あたしだけではなかっただろう。





1曲目のイントロから


すごくキレが良くて、重厚感があって。




メンバーの気持ちの高まりは、それぞれの音だけでも読み取れた。