煙草とキス







「……意味分かんねぇ」







それは、突然の言葉だった。



うつむいていたあたしは、その聞き慣れた声を聞いて、顔を上げた。






あたしの目の前には


目線を落とした快斗がいて




快斗の背中の先には、みんながいて




快斗の目は潤んでいるようで


だけど、口元は緩んでて。






そんな快斗の手は、あたしの頭の上にそっと乗せられた。







「澪を泣かせたいって思うなんて…
俺、ちょっと頭ヤバイかも」




「……えっ?」






ため息をついて快斗は笑う。



冗談なのか本気なのか、区別がつかない。









「泣かせちまったら、ごめん」







快斗はただ、そう言った。