煙草とキス





「意味分かんない……」







何故か、溢れ出す涙。



その涙の理由が、自分でも分からない。








「あぁーっ!
愛しの澪ちゃんを泣かせるなんて、龍ってばサイテーだなぁ~」




「何が“愛しの澪ちゃん”だよ?」




子供みたいな声を上げた徹平を、快斗は苦笑いしながら叩いた。



徹平はまた、子供みたいに騒ぐ。








「快斗、行ってやれよ」






そう、囁くように呟いた梓。


瞳を覆う涙で、4人の顔が見えない。








だけど、みんな笑ってる。









ボロボロ涙を流すあたしを


馬鹿にして笑ってるんじゃない。






彼らの笑い声は、普段と180度違ってすごく穏やかで、優しくて、楽しそうで。




いつになくキラキラしている気がした。