煙草とキス







「………嘘…っ」









そう呟くしか、出来なかった。





“夢かもしれない”


そう思ってあたりまえだよ。





こんなこと、誰が考える?



こんなことが起きるなんて────










「みんな……馬鹿だっ…」






いつものステージより


ひと回りも、ふた回りも広いステージ。




赤と白の照明が、ステージの上で、余裕の表情で笑っている彼らを照らしている。







「bitterlips……
今日だけは馬鹿にさせてくれる?」





既にステージ真ん中に設置されているスタンドマイクの横で


龍也がしゃがみながら、そう言った。








ステージの上では、bitterlipsメンバー全員が、ドアの前で動けなくなったあたしを見て笑っている。





その光景は、とても不思議だった。