煙草とキス





だけど、何故かちらほらと見えるスタッフは誰も世那を変な目で見ない。



あたしのことも、見ているのに何故か注意もして来ない。









「…世那、一体何が……」




世那の顔を覗くと


世那は微笑んで、あたしの背中をいきなり押した。






「わっ!ちょっ…世那!?」








そのとき。





世那に押されて、少しばかり大袈裟に足をもたつかせ、閉まりきっていないホールのドアに、手を掛けた。






……世那が、“開けろ”と頷く。






あたしは戸惑いながら



重厚感のあるそのドアを押した。