「そういうことは後にしろよ。
もう出るぞ!ファンも待ってるんだし~」
「ったく、雨の中ご苦労だよね」
龍也と徹平は口々に言いながら
スタスタと関係者専用口から出て行った。
すると、ファンたちの歓声が
こちらまで聴こえてきた。
「澪、早く帰れよ?
俺はたぶん……遅くなると思うから」
「うん。じゃあね」
ギターケースを肩に掛けながら
快斗はあたしの頭を撫でた。
「澪、気を付けて帰れよ~」
梓もギターケースを肩に掛けながら
あたしに笑顔で手を振った。
そして、2人も外へ出て行った。
すると、さっきよりも
すごい歓声が聴こえてきた。
もう、悲鳴に近いくらいの声が。


