錆びついたドアは、開いたまま
狭い通路を行くメイは、
どんどん離れていく。
あたしは、何も言うことも出来ず、何度もあたしを見るメイを
見つめていることしかできない。
「メイ………」
あたしが、小さくメイの名前を、呟いたときだった。
「今でも、覚えてる!
快斗のことはずっと、忘れられない!
だけど……分かるの。快斗のこと…」
奏太から手を振り離したメイは
あたしの方を見て、外まで響くくらい大きな声で叫んだ。
「快斗には、澪ちゃんだけなの!
メイとのこと知って、澪ちゃんは不安になったかもしれないけど……快斗には…」
「快斗にとっては、澪ちゃんが…
過去を知って、不安がることが1番悲しいんだと思う。だからね、澪ちゃんは……」
メイは、世那と同じことを言った。
あたしは、すごく悲しかった。
やっぱりあたしは……弱かったから。


