「……メイ、恋愛下手でね?
失恋してまた恋しても、前の人を忘れられなくて、結局また失恋の繰り返しなの」





そうメイが話すと


タイミング良く、なのか悪くなのか、向こうからメイを呼ぶ歓声が聞こえた。




きっと、別の入口でメイを待つ、ファンたちの声だ。



ライブが終了してまもないのに…




随分と大きな歓声だ。








「でも、そんなメイを、変えてくれた人がいたの。同じ夢を抱えてる人だった」




歓声に気付いたあたしは、メイをチラッと見たけれど



メイは、止まることなく話を続ける。







「今までで1番愛を感じて、1番大好きな人だって思えた。
だけど、気持ちを重ねていくうちに……
その人との別れを考えてた」




「……どうして?」





「同じ夢を抱えてる者同士だからこそ、離れるべきだと思ったの。
それに……一方的かもしれないって」








あたしは、もう分かってた。



メイの話す“その人”は、誰なのか。





そしてメイは、あたしがそう思っていることを





分かって話している、と………。