煙草とキス





思い起こせば



あたしと快斗が出会ったのも、ライブハウスの裏側。




もう、4年近くも前のことだ。








龍也と別れて半年経った頃、あたしはアマチュアからインディーズバンドまで



手当たりしだいに探しては


ライブハウスへと足を運んでいた。





そんな中、あたしはbitterlipsというバンドの存在を知り



メンバーの中に、龍也の存在もあることを知った。







無論、あたしは動揺。




ライブハウスを脱け出して、気を落ち着かせるために



裏口の方へ行き、煙草を吸った。






そのとき、開いたドアの向こうから




快斗が、出て来たのだ。







快斗は一瞬、驚いた表情をした。



でも、あたしだって驚いた。




ほんの少し前まで


ステージの上で、龍也の前で、歌っていた人が現れたのだから。





だけど快斗は、すぐに表情を戻して


煙草に火をつけ、ゆっくりと煙を吐いた。




そんな快斗の頬や首筋には


まだ、たくさんの汗が流れていて



煙草を吸う横顔に、あたしは目も心も奪われてしまっていたのだ。










これが………




初めての一目惚れにして、



初めての出会い────