煙草とキス





それから世那は、口を開かず



あたしは、世那から受け取った、メイのライブチケットを軽く握った。




クシャッと音を起てて


手の中に納まってしまったチケット。





「……急に、ごめんね」



あたしはそれを握りしめながら、ただそう言って、世那から離れた。





CDショップを出ると


空にはまだ、夕陽が浮かんでいた。






人の流れが途絶えることのない街を、ひたすら足早に進んでいく。



唇を噛み締めて歩くあたしは




世那の言葉しか、考えていなかった───