煙草とキス




「メイが今も快斗が好きだとして…
それを聞いて1番、辛くなるのは澪ちゃんだと思うんだ」





世那の声が、少し柔らかくなる。




「快斗も、絶対そう思ってるよ。
アイツ、はっきりとは言わねぇと思うけど、今は音楽と澪ちゃんしか、眼中にない。

快斗は澪ちゃんが……
自分の過去の女のことで、悩んだりするのがきっと嫌なんだよ」






世那は、あたしでさえも読めなかった、快斗の心情を



まるで、全て見通しているかのように…




静かに話してくれた。








だけど、あたしは………





とてつもなく大きな


“後悔”の波に、溺れそうになっていた。







「世那。あたし……聞いちゃった」





重い口を開いたあたしは



世那をチラチラと見ながら、そう言った。






「聞いたって、何を?」




「その、だから……」





世那はもう、分かってるだろう。



でも、あたしの目を見たまま、あたしがまた口を開くのを伺っている。





あたしは、色んなところに目線を落とした。