煙草とキス





しばらく、2人の会話は途絶え



店内に流れる最新曲だけが、耳にたくさん流れ込んできた。









結局は、こんな空気になるのか─……。








あたしはそう思いながら



世那にバレないように、そっと静かなため息をついた。





すると、その直後。



世那は低い声で、沈黙を破った。






「快斗は、間違ってねーよ」



「……えっ?」





思いがけない世那の言葉に



あたしは、うつむく世那の顔を見て、聞き返してしまった。








「全ては、オレが過去のこと話しちまったからかもしれねぇけど。
澪ちゃんは、知らなくていいと思う」




「何を知らなくていいの?」





うつむく世那に、あたしも目線を落としながら、またもや聞き返す。




そうすると、世那はしばらく間をあけて、また口を開いてくれた。








「───メイの、気持ちだよ」





でも、そう呟いた世那の表情は



すごく、硬く見えた。