おもむろに立ち上がった快斗は
キッチンの方へ行き、アイスコーヒーをカップに注ぐ。
最近ますます華奢な体つきになって、無造作な髪も少し伸びた快斗。
いつも見ているはずなのに、なんだかすごく、胸の奥が熱い。
「澪、25日と26日開けといて」
そんな快斗は、カップを持ちながら
小さな冷蔵庫の上に置いてある、卓上カレンダーをジッと見た。
快斗の背中を見つめていたあたしは、その声で我に返った。
「25と26……?
それってもしかして、あたしの誕生日?」
あたしはベッドから降りて
快斗の元へ向かった。
7月25日────
それは、あたしの20回目の誕生日。
早く大人になりたいと、幼い頃から待ち望んでいた誕生日だった。


