でも、直接話したいが為に
また電話をしたわけではない。
きっと留守電になるだろうと思い、一言だけでも、言いたいことがあったのだ。
メイから、答えが返って来たって
来なくたって……。
とにかく、メイに考えてもらうだけでいいから。
あたしは、ただそれだけの気持ちで電話をしたんだ。
「ピーーッ…」
留守電の発信音が鳴り
あたしは、軽く深呼吸をした。
そして、静かに息を漏らしながら、あたしは口を開いた。
「……今も、快斗を覚えてる?」
「ピーーッ……」
また流れる、機械的な音声。
うっすら赤くなってきた東の空が、更に虚しく感じて
突然、胸を締め付けられる気がした。


