外へ出ると、もう空は薄い群青色のような明るさになっていて
月はもう、見えなくなっていた。
それでも、東京の街は眠らず
遠くに見えるビル群は、所々に灯りをともしている。
そんなビル群と、朱い東京タワーは
朝もやに覆われて
なんだかとても、幻想的な雰囲気をかもしだしている。
あたしはその光景を
立ち止まってただ、見つめていた。
ケータイを、耳に当てながら。
───「留守番電話サービスに……」
駅の方へ向かいながら
あたしは機械的な声を聞き、軽く息をついた。
もう、深夜4時も過ぎて、朝方だという頃なのだ。
こんな時間に電話するのは、
あまり良くないのだが………
あたしは、またメイに電話をかけていた。


