あたしは、一人になった途端に……
声を出しながら、泣いた。
自分でも、涙の理由が
何なのか分かっていなかった。
だけど、溢れ出る涙に、止まる気配は一向になくって
あたしは、ケータイを握りながら
壁に寄りかかって泣いた。
快斗の言葉を聞いたとき
あたしは、一瞬心臓がピタリと止まった感覚に陥った。
『お前しか知らねぇから』
その意味を理解するまで
数十秒はかかっただろうか。
理解したときにはもう、快斗の姿は目の前に無くて……。
気付いた頃にはもう、溢れる涙が止まらなくなっていた。
と、そのとき。
カチャ、とドアが開く音がして
あたしは、涙を手の甲で拭って顔を上げた。
何故か、開いたドアはほんの数センチだけで、ドアノブは下がったまま。
きっとそこに誰かいるのだろうけど
その数センチだけの隙間からは、伺うことはできない。
不思議に思ったあたしが
鼻水をすすりながら、ドアを開けようとすると………


