だけど、それはすぐに
快斗の言葉で破られた。
「……俺の過去は、知らなくていいよ。
知っても、何にもなんねえだろ」
「でも…っ」
そう言いかけて立ち上がると、
快斗は、目線をあたしのケータイに落とした。
「ただ、澪が世那から聞いたことは多分、全部間違いねぇよ。
どうせアイツ、詳しく話したんだろ?」
「……分かんない」
あたしは首を小さく横に振りながら、快斗の手元に目をやった。
緊張しているのか、
あたしの心臓の音が大きく鳴っている。
この静かな空間に
響きやしないかと、心配するほどに。
すると………
急に、快斗があたしの手をとって
ケータイを握らせた。
そして、ゆっくりとため息をついた。


