「世那から……色々と聞いた。快斗とメイの、過去の関係も」
あたしは、少し剥がれているペディキュアを触りながら、小さく呟いた。
快斗は、黙ったまま。
あたしは、それでも続けた。
「……快斗、気付いてたんでしょ?
あたしが、メイのことを教えたときに。
本当は、ALICEだって知ってた」
チラッと横目で見ても
快斗はまだ、ジッと天井ばかりを見つめている。
「あたし、世那に言われなかったら……ずっと快斗の過去、知らないままだった」
そう呟きながら、あたしは目を閉じて
静かに息を吐いた。
シンとしたこの空間で流れる時間は、すごく遅く感じて。
話した後のわずかな沈黙も、とても長い沈黙のように感じた。


