涙の跡



リビングに居ると
お母さんが起きてきた。


「ミレイ、今日出かけるから準備して」

突然お母さんがそう言った。


お父さんが死んでから
出かけるのははじめてだ。

内心凄く嬉しかった。

すぐに着替えて出かける
支度をした。


支度をし終えてリビングに戻ってくるとお母さんが
トランクに荷物をいれていた。


「なに、この荷物…」

近場にでも出かけるんだろうと思っていたわたしは
大荷物に驚いた。


「ミレイ、今から日本に
行くから。」

え…日本?なにそれ?


6歳のわたしは日本を
知らなかった。


「遠い国よ。さぁ行きましょ」

お母さんは荷物を抱えて
玄関に行った。