お母さんに心配をかけたくなくて涙を拭いてから
家に上がった。

リビングのテーブルには
3人分の夕飯が並べ
られていた。


「ミレイ、アレンは
どこにいったの?」

お茶を注いだコップを
手にしたお母さんが
力無くそう言った。

「…。」

何も答えないわたしに
はぁ…とお母さんは
ため息をついた。


お兄ちゃんにあんなことを言われたなんてお母さん
には言えない。


多分お兄ちゃんはもうずっと帰ってこない。

そんな気がした。