【短編】もう少しだけ




「茅乃さー、何人位と付き合った事あるの?」



何口か飲んだ後、突然言われた一言。


隣に座った真祐を見ると、
膝にひじをつけ、少し前屈みになった体勢で真っ直ぐ前を見ていた。



「どうしたの? 急に」

「ん? いや、ううん。俺、何聞いてるんだろね」



あはは、と笑いながら頭を掻き、残りを飲み干した。

ふぅーと大きく息を吐きながら立ち上がり、ジュースの缶をゴミ箱へと投げ捨てる。


やっぱり、変……だよね?

どうしたのかなぁ?


付き合った人数なんて、初めて聞かれたし。



あ!
もしかして先輩の事…気にしてる?

あ、ヤバ……。
ちょっと嬉しいかも。
思わずニヤけてしまう顔。



「何か面白い事でもあった?」



真祐が不思議そうな顔で私を見つめる。


ううん、と顔を横に振り笑う。

それを見て、また不思議そうに私を見る。