【短編】もう少しだけ



終わりって、言葉があるものだと思ってた。


『別れよう』とか『さよなら』とか。


何もなくても終わる事ってあるんだね。


もしあの時、教室から出て行く真祐を引き止めてたら
こんな風になってなかったのかな?

もしあの時、キスしてたら今も隣で笑ってくれてたのかな?


なんて、本当“今更”だよね。


例え、今あの時に戻れたとしても、
あの時の私は、どっちも出来なかったんだろうな。



自業自得。



真祐の優しさに甘えてた私が悪かったんだ。



それから、真祐は毎日違う女の子を連れていて。
友達からも聞きたくないのに聞かされる事。


“昔の真祐”


私は、真祐から告白されるまで、真祐の存在すら知らなかった。

クラスも違うし、何の接点もなかったんだもん。

今の真祐が昔の真祐。
軽くて、遊んでて。


じゃあ、私と居た時の真祐は偽者だったのかな?

あの真祐は一体……誰だったんだろう?




――ガサッ



放課後、数学の集めたプリントを廊下で落としてしまった。


はっぁーーー。
最近、何をしてもツイていない。

ボーッとしてるからかなぁ。

授業中もあてられたのに、机に教科書すら出していなくて
罰としてプリントを集めて職員室まで持って来いって言われちゃうし。


プリントは落としちゃうし。


誰も居ない廊下に散らばったプリントを1枚1枚、拾い集める。

待ってる人がいるわけでもない私の拾うペースは遅い。



そんな時だった。