「なんでもない。夢を見た。青い人は夢を見る?」
「青い人か…。ベアトリーチェ、私は海魅だ。あるよ。人はみな夢を見る」
「そっか。海魅も夢を見るんだ」
そっか
人はみんな夢を…
「海魅、僕は人?」
「あぁ、人さ。ベアトリーチェ。じゃなきゃ永遠になれないからね」
「海魅、ピアノ弾いて」
「おやすいご用さ」
そばにあったピアノを優雅に弾く海魅
綺麗な音色
これが優しいと言うこと
海魅のピアノは好き
綺麗で澄んでいて
「ベアトリーチェ。君は椿の花を知っているのかい?」
「わからない」
「じゃあベアトリーチェ。君は人の首が、落ちるのを見たことあるのかい?」
ピアノの弾きながら
「……ある…と思う」
ピアノの音が止まった
静寂が支配したのも束の間
いきなり海魅が笑い出した
傑作だと、笑い出した
「なんだ、そうか!!空禮は絶対じゃないんだな。そうか、そうか!!」
