この能力は
能力者の命を奪うマイナスの能力

おひいさまなんて
メルヘンちっくな字
笑止千万



価値のない商品
売れない美術品
賛けない芸術品


継承出来るはずもなくて


手を伸ばせば届いてしまう距離にある
死を感じながら



他からみて重要か否かは
さほど問題にはならない

私にとって確実に看過出来ない
足を引っ張る存在が私なのだから
自らの意思で自らの命を放棄しようと
機会を伺い続けていたのだけれど

片道の人生
生きてきた意味はあったということね



マイナス
つまりはプラスの否定

命を奪う
つまりは生の否定

否定をする能力だから


争いを生む秘宝も
他者を圧倒する力も
争いで奪われた命も
耄碌した真柱も
晴れぬ暗澹も
途切れぬ怨嗟も
悲しい結末も

枚挙に遑がないキュビスムを
否定するのは吝かではないわ


私でなくてもいいことはあるけれど
私でなければ意味の無いものもある

そんなことしか出来ないけれど
それくらいなら私にだって出来る


精一杯生きることは悪いことではないと
今までの価値観と喜怒哀楽の全てを翻す

決断して運命を変えるのはいつだって
小さな勇気と誰かを大切に思う気持ち

能力を解放することが出来たとしても
幸せを約束出来る存在ではないけれど

過去を守る強固な盾となり
未来を切り開く双剣となり
降りかかる火の粉を振り払い
災い転じて福となりましょう




スッと息を吸い込み覚悟を決めて

韋駄天が嘆息を漏らし
寓話さえ煽惑を嗾けた
悪趣味で寝覚めが悪い
この小賢しい能力ごと
全部叩き潰し否定して

慰めに愛らしい花を一輪
手向けて差し上げますわ