国を守る為だ

お前の側につくわけにはいかなかった

あの方が国を使い

国民にまで影響が出そうだと思ったから

どれだけ有益な情報があっても

裏切り者と言われようと

後の処理をお前に背負わせることになっても

私はあの方側だと思わせる必要があった

切り札が私だと自覚していたからな

まぁスケープゴートが私の手元に来る前に

お前が上手いことやってくれて助かった

警告の本懐が伝わってよかったよ

国を守る為だなんて言えば聞こえはいいが

国民と部下を天秤にかけたと言われるのは当然だ

それ相応の処分は覚悟している

さて

公の話はここまでにして

個人的な話をしようか

あいつと約束をしたのを思い出したんだ

お前とあいつとでした野望の約束の他にした

個人的な約束を

仲人をしたいそうだ

もちろん私とお前とのだ

あいつは妙に勘が働くからな

私が一枚噛んでいると踏んだんだろう

取って付けたように言われた

本人は至って不真面目そうだったがな

思い出してしまったからな

約束してしまったからな

破るわけにはいかない

いや

破りたくないだけかもしれない

切り札以外の道があるとしたらと

失った身体の一部なんかよりもと

今際の際に思い出してしまったものだから

お前のプロポーズを

拒否しといてあれなんだがな

お前がトップで

あいつがナンバーツー

そして私がお前の夫人で

そんな野望の約束

私個人は

お前と生きていきたい

公に許されなくていい

私がしたことはそれだけのことだ

だけどもう

お前が心配するようなことは思っていない

だから

お前は

あいつとした

野望を

頼むぞ