優人side




頭を撫でていると、いつの間にか一定になる呼吸。
俺の左手をぎゅっと握ったまま、安心したような顔ですやすやと眠る真咲くんを眺めていた。


「綺麗な顔してんなあ…」

思わず出た言葉。

生まれた時から男と間違われる程の男顔で、結局こんな仕事しか出来なかった。
いや、誇り持ってやってるけどね。

こんな綺麗な子とは正反対の生き方をしている。

男装とはいえホスト。
綺麗な仕事ばかりしてきたわけじゃない。


「ところどころに痣…ひどいな」


少し布団をめくると、細く白い体に痛々しい青あざが幾つもある。


こんなになるまで逃げ出せなかったんだ…。


私が守りたいなんて思ったら、駄目なのかな。





そっと真咲くんの手を離して部屋を出る。

「はぁ…」

ドアにもたれかかり溜め息を吐く。

「あの子を守りたい?」

いきなり声が聞こえたので、驚いてそちらを向く。


「悠…」


4o'clockのGackt、まさにそんなキャッチフレーズに相応しい男。否…今は女。

「私は反対しない。もちろんあいつらもだ」


「わかってる…でも」


俺達がしてきた事は…。


「お前は、後悔をしているのか?」


「後悔は…してない」


決して、誉められる事ではない。


「なら…答えは出ただろう?」


「…うん」


悠は自室に戻り、俺は風呂に入った。