ゆず図書館。*短編集*

 

って、そんな後ろ向きなこと考えてちゃダメだ。

怖いけど、ちゃんと話を聞かなきゃ……!

私は立ち上がって比呂さんに近付き、すがりつくように比呂さんのシャツをきゅっと掴んだ。


「……比呂さん……、っ」

「……」


見上げたその表情は、無。

いつもみたいに優しく笑い掛けてくれないんだと気付くと、すごく悲しくなった。


「わ、私、比呂さんを怒らせるようなこと何かしましたか?」

「……さぁ?」

「……嫌……嫌です、距離を置くなんて……!私は比呂さんのことがすごくすごく大好きなんです!そばにいれるのが本当に嬉しくて幸せで……っ、比呂さんと離れたくないです……!」

「……ふぅん?」


いつもよりも冷たい相づちに、さらに私の胸が締め付けられていく。


「……離れるなんて、やだ……!」


いやいやと首を横に振る。


「……じゃあさ、俺のことで頭いっぱいになった?」

「え?」

「どうなの?教えて?」

「……そんなの、当たり前です!……私はいつも、比呂さんのことでいっぱいです……!」


出てきそうになる涙を必死に堪えながら、比呂さんの目を見て私は訴える。

もし拒否されたらと思うと、すごく怖かった。

でも、ここで諦めたら絶対に後悔する。