「…………え?」
私は呆然とするしかなかった。
……本当に別れ話なの?
からかわれてるわけじゃなくて?
勝手に部屋を出ていけって?
……って、いやいやいや!
そんなことしたら、本当に終わっちゃうよ!
……ど、どうしよう……!
寝室のドアを叩いて「比呂さんのことで頭がいっぱいです!」って言えばいい?
や、でも、それも何か変だし……でも、こんないきなり距離を置くなんて言われても困るし、嫌だ。
いや、いきなりじゃなくても、別れるなんて絶対に嫌!
私は比呂さんのことがすごく好きなのに……!
私はどうしようとソファから立ったり座ったりしながら、何十分にも思えるくらいの数分間を過ごした。
かちゃ。
と、比呂さんが消えていった部屋のドアが開いたのは私がソファに身体を乗せた時だった。
ビクッと比呂さんの方に顔を向ける。
「っ!」
「……」
比呂さんは私をじっと見ていた。
その瞳は穏やかなのに、「まだ居たの?」と言っているような気がして……。
胸がきゅっと締め付けられる感覚に襲われた。

