「・・・泣いてるから。泣いてほしくないと思って・・・」 古田君の声が、くぐもって聞こえる。 彼の心臓の音は、速かった。 あたしの心臓の音と、良い勝負だと思った。 「うん・・・。ありがとう」 ポツリ、ポツリと雨が降る。 あたしや古田君の体を、鋭く突き刺してきた。 外は寒くて、でも古田君の腕の中は、すごく温かかった。 二人で抱き合いながら、この寒さに立ち向かう。