あたしはその場にあったベンチに、腰を下ろす。 心臓が、さっきとは違う意味で高鳴る。 ゆっくりと瞳を閉じると、眠くなってしまった。 「・・・い。・・・向井。・・・向井」 誰?あたしを呼ぶのは・・・。優しくて、切なげな声。 あたしはその声で、目を覚ます。 「・・・どうした。いきなり電話、珍しい」 目の前には、古田君の顔。 あたしが電話したら、わざわざ迎えに来てくれた。 優しい。こういう優しい気遣いは、本当に嬉しい。