私には友人が1人だけいる。


同じクラスの由紀。


私はこんな性格だから、友だちなんていらないって思ってた。


でも、私と由紀は似てるところがあった。


彼女は髪を派手に染めていて、タバコも吸う。それに夜はキャバクラで働いている。もちろん学校には内緒だけど。


一見、真面目な私とは正反対みたいだけど、実はとってもよく似てる。


なかなか他人に心を開かなくて、いつも孤独だったから。



彼女と仲良くなったのは、高校1年の6月。


学校の帰り、急に雨が降ってきた。


私は傘を持っていなかったので、学校の近くにある神社に駆け込んだ。


その時、雨音に交じって微かに、弱弱しい何かの鳴き声が聞こえた。


猫?


神社の境内には、子猫が2匹段ボールに入って捨てられていた。


「大丈夫? 猫ちゃん。」


2匹の子猫は寄り添うようにして、悲しそうな声をあげていた。


よく見ると、猫たちは見覚えのある衣服にくるまれていた。


この服・・うちの学校の制服?



「猫ちゃんお腹空いてるの?待っててね。今、何か買ってくるから。」



私が立ち上がった瞬間、神社の鳥居からブラウス姿の女性が傘も差さず、ビニール袋を手に下げてこちらに走ってきた。