「サクヤ先輩、どうぞ」


「確かに、リタとセリナさんが狙われた今回の事については僕も怒っていますし、是非とも犯人を捜し出し問い詰めた上でなぶり殺しにしたいです」



いや、誰もそこまでは求めてないよ!



「けれど僕は、残念ながら生徒会長の身。

生徒の中で一番権力を持っている人間が、一部の生徒を贔屓するなど……」


「そう言うだろうと思って、用意しておきました」


「え?」



戸惑う生徒会長の前に、アレン君が一枚の封筒を差し出す。


慎重にサクヤ先輩が開けてみると、そこには……



『生徒会長サクヤ・ヒュンギス殿

セリナ・マクレール及びリタ・エルルージュへと悪質な行為を働いた者を捜し出す事を命じる

ガルヴァール魔法学園長』



薔薇の花をあしらった便箋の下に書かれていたのは、そんな文章。



「こ、これは……学園長からの密書!どうしてこんな物が!?」


「二人に送られていた魔方陣は、強力な『麻痺』の呪いを発動させるものでした。

そのため、犯人がどこでその魔方陣を手に入れたのか――学園側としても、探る必要が出てきたのです」



そう締めくくると、アレン君は『他に質問は?』と言って辺りを見回した。


けれどもう、質問しようと手を挙げる人間はいない。


そりゃそうだ。一人でここまでの計画を練り上げ、その上でガルヴァールのトップまで動かしてみせたのだから。