一人で納得しながら、私は胸元で揺れる《龍玉》へ手を伸ばそうとした。


私には、何か不安な事があると《龍玉》に込められたクリュウの魔力に触れるクセがある。それをすると、一人じゃない気がしてとても安心するのだ。


ところが、それはできなかった。


動かそうとした右手を、誰かが掴んでいたからだ。



「……ん?」



驚いた私は、首を傾げながらそちらへと視線を動かす。


そして、



「……ぶっ!?」



思わず、鼻血を吹きだしそうになった。


何故ならそこには――私の手を強く握ったまま、上半身をベッドの方に投げ出して眠るガンツ先生の姿があったからだ。



「な、な、な……ッ!」



すぅ、すぅ、と耳に届く安らかな寝息。


普段の仏頂面からはかけ離れた、まるで幼子のようなあどけない表情。


普段は整っている藍色の髪は乱れ、シャツの襟からは鎖骨がチラリと見えている。


その様子は、とても……とても色っぽかった。