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「はぁ、はぁ……」


「せ、セーフだね……!」


「……すみませんクリュウさん、私だけ抱えてもらっちゃって」


「俺様に指示したのはセリナだ。礼ならセリナに言うといい」



そうして、私たちは無事に教室へ辿り着く。


すっかり仲良くなったクラスメイト達にからかわれながら、ヨロヨロと自分の席へ。


そして。



「……ん?なにこれ」



――見つけた『それ』は、一枚のプリントだった。


机の中に入ってはいたもののプリント自体には覚えがなかった私は、首を傾げながら軽い気持ちで紙を裏返す。


直後



「………………ッ!」



思わず、絶句した。


それと同時に、クラスメイト達の喧騒がスッ……と小さくなっていく。


どくり、どくりと打つ心臓の音だけが、妙に鮮明だった。



「だ、だれが、こんな事……!」



震える声で呟きながら、私はぞの紙を強く握りつぶす。


しかし直後、身体がグラリと傾き……そのまま、床に倒れこんでしまった。



「セリナ!!」



遠くなっていくクリュウの声を聞きながら、私は静かに意識を手放した。


――力の抜けた手からこぼれ落ちたグシャグシャの紙には、禍々しいほど赤いインクで『呪い』の魔法陣が描かれていた。