一瞬でそこに魔力が集まったかと思うと、素早い魔法陣展開と共に気絶していた魔獣たちが起き上がり、こちらへ牙を剥いてきた。



「おい、くるぞ!」


「分かってる!!」



私とクリュウは素早くその場から飛び退くと、臨戦態勢をとった。


けれどその時……一瞬だけ、私には見えたのだ。


サクヤ先輩の扱う魔法陣に混じる、黒い力を。



「――っクリュウ、違う!この人は正気でこんな事してない!
暴走してるだけだ!」



私はそう叫ぶと同時に『風刃』の符を取り出し、魔獣のほうへ向けて放った。


それに気付いたクリュウが、打ち出されたカマイタチに《雷》の力を絡ませる。


部屋に広がる爆音と、黄金の光。


そして――視界が晴れ、5匹の魔獣全てが再び気絶したのを見届けてから



「クリュウ――サクヤ先輩を拘束して!」



私は数枚の符を展開させながら、サクヤ先輩の方へ突進した。