「まず1つめは《目》の魔法。これは無属性の魔法で、使用目的は主に拷問や脅迫だね。魔法をかけた相手に『常に監視されている』と思わせることで、精神的に追い詰めるんだ。
でもこの魔法は校内では禁止されていて、かけようとしても無効果されるはずだから違うと思う」
1本目の指が折り曲げられる。
「次に、気のせい。つまり勘違いってヤツだね。でもセリナ姉さんは冒険者だったらしいし、これもないと思う」
「うん……ってちょっと待って、なんで知ってるの!?」
「え?だって決闘の時に名乗ってたじゃん。大きな声で」
「…………ぁ」
思い出して青ざめる私に笑いかけながら、シェイド君が2本目の指を折り曲げる。
残った可能性は、あとひとつ。
「で、最後は……」
「おーいセリナ、捕まえたぞー」
しかしその瞬間、誰かが私の名前を呼びながらやってきた。
振り向いて確認すれば、そこにいるのは別行動していたクリュウ。
そして、その手に掴んでいたのは。
「……クリュウ、それどうしたの?」
事態が飲み込めず、首を傾げる私の横で
「うわぁ、やっぱりそういうことかぁ……」
何かに気付いたらしいシェイド君が、頭を抱えたのだった。