「あ、そっか!セリナちゃんは先輩のこと知らないよね!

こちらはサクヤ・ヒュンギス先輩。魔族・魔獣研究科の3年生で、生徒会長もやってるんだよ!」


「どうぞよろしくお願いしますね、セリナさん」



タイミング良く行われたリタさんの紹介に合わせ、会釈するサクヤ先輩。


……って、あれ?


私、どこかで『サクヤ』という名前を聞いた気がするんだけど……。


少しの間悩むけれど、全然思いつかなかったので諦める。まぁそのうち思い出すでしょ。


とりあえず私とクリュウも自己紹介をして、そのまま4人で歩き出す。


賑やかなリタさんと微笑みを絶やさないサクヤ先輩、そして私にのしかかるクリュウ。


それは、とても楽しい時間で。


――だから私は、気付かなかった。