「やぁ。君がセリナさんですよね?昨日の決闘ではおめでとうございます。素晴らしかったです」


「あ、ありがとうございます……」


「リョウの奴がすみませんね。

あいつ、剣の扱いにばかり熱中していたせいで色恋に関するものが苦手なんです」


「は、はぁ……」



私は曖昧に相槌を打ちながら、ニコニコと笑うイケメンさんを見上げる。


サラサラな茶色の髪と、神秘的な紫色の瞳。

柔らかい物腰と丁寧な口調の相乗効果で、上品な印象を受ける。



(『王子』ってあだ名つけられてそう……)



心も中で呟くと、私の肩に頭を乗せていたクリュウも大きく頷いた。


――契約関係にある私たちは、望んだタイミングでお互いの心の声を聞くことができる。

今回はクリュウが私の声を聞いて、同意してくれたのだろう。


と、その時