「え?だってお前、あんなにリタと仲良さげにしてたし、セリナだってお前らのこと……」


「うーん、セリナさんがどう言ってたかは知らないけど、俺とリタさんは普通のクラスメイトだよ。

もちろん、なにかあったらクラス委員の自分が守るんだ、とは思ってるけど」



そう言い切ると、アレンはリタへと目を向けた。


その目に映るのは、信頼。



「もちろん、リタさん可愛いし過保護になる時もあったけどね。

でも関係は、ただのクラスメイトだよ」



そう言うアレンの表情に、嘘をついている様子はない。

アレンの言っている言葉が本当だと分かったクリュウは、変に勘違いして悪かったとアレンに謝った。


それに対し、アレンはただ苦笑するのみ。



「いやまぁよく聞かれるし、気にしないで」



そう言って手を振るアレン委員長を見ていたら、不意に俺様の頭に一つの疑問が浮かんだ。



「なぁ、アレン。それなら、他の連中はどうなんだ?」


「他の連中?」


「ほら、リタを迎えにやってきた昼休みの男子共だ。あいつらはどうなんだ?」


「うーん、もしかしたらリタさんのことが本気で好きって人が中にはいるかもしれないけど、

あんまりそんな雰囲気はないかな」



委員長は唸りながら、そんな感想をもらす。


その時、アレンはリタに名前を呼ばれた。

アレンはそれを聞くと、すぐにそちらへと近付いていく。


クリュウは、その真っ直ぐした背中を見ながら



(なるほど、リタはものすごいモテモテだとセリナは言っていたが、

必ずしもそうではないのだな)



心の中で納得し、もう一度水をあおったのだった。