「主役の一人が何してるの、こんなところで」


「別に。ああいう騒がしいのが得意じゃねぇだけだ」



俺様はそう言うと、持っていた水をぐいっとあおった。


龍という種族、特に雄の場合は、伴侶を選ぶその時まで1匹で生きていく。


そんな特徴もあって、騒がしい場所はあまり好きではないのだ。



クリュウのその言葉にふぅん、と頷いたアレンは



「けどセリナさん、あのままいったら明日お腹壊しそうじゃないか、止めなくていいの?」



そう言って、少し面白そうに笑った。


その笑顔からセリナへの気持ちを勘違いされていると勘付いたクリュウは、それに対して否定の言葉を出す。



「お前がどう考えているかは知らないが、俺様はセリナの事を妹くらいにしか思ってないぞ」


「へぇ?全く意識されてないって分かった時、あんなに悲しそうな顔をしてたのに?」


「……はぁ?」



俺様は低く唸ると、アレンの方を睨みつけた。


しかしアレンは全く動じないどころか、逆に微笑ましげな表情でこちらに笑顔を向けてくる。


これはなにを言ってもダメだと悟った俺様は、アレンに反撃すべく口を開いた。